スイートルーム
彼……、次郎は、生ビールを一口飲んでから、あたしが言いかけた話の続きを訊いた。
「今日……、彼女にプロポーズする予定だったんですよね」
ピクリと反応した次郎の動きが一瞬止まった。
「……敬語はなし」
すぐには答えずに、次郎は、人差し指を突き立ててあたしに注意する。
「……ごめん」
お酒が入っているからなのかな。
あたしは、親しい友達に謝るような感覚で、次郎にさらりと言葉をこぼした。