真 彩 (まあや)
「でも結婚式の直後でこんな事を言うのもなんですが、あの2人の今の新鮮な気持ちがどれくらい続くのか見てみたいものですよ。」

「あらそんなこと言って、2人はラブラブでしたよ。」
「いや、恋人同士のうちは良いんでしょうけど、愛なんてのは永遠に続くものじゃないですからね。結婚生活が始まると必ず危機がやってくるもんですよ。結婚3年目の危機ってよく言うじゃないですか。倦怠期って言うのもそうですよ。」
「結婚生活にはずいぶん悲観的なんですね。そう言えば叔父様は今日はお1人のようですけど。」
「あぁ、僕はまだ気楽な独身生活を楽しんでいるので、甥の方が先に結婚しちゃいました。」

「まぁ、優雅な生活のようで、それも素敵ですね。さぞかしモテモテなんでしょうね。」
「いやいや、まだ若いと思っているうちにもうアラフォーと言われる年になってしまいましたからね。おじさんじゃモテませんよ。」
「いいえ、まだお若いですよ。」

「失礼ですが、あなたもまだ予定はないのですか?」
真彩は左の薬指に指輪をしていなかったのだ。
「残念ながら縁がなくて。」
「もったいないな、こんなきれいな人を放っておくなんて、と言うよりもあなたがきれいすぎて簡単に手を出せないんだろうな。」
「いいえ、きれいだなんて…私なんか平凡なものですよ。」


 しばらく他愛のない会話をして、帰り際にいつものように誘ってみた。
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