紳士な若頭の危険な狂愛
いきなり唇が塞がれた。
その唇を塞いだのは彼の唇。
突然のことで目を見開いたまま、すぐ目の前にある彼の目と視線が交わる。
混乱する私を無視するように、唇をこじ開けられ一気に深いキスへ変わった。
薄暗い部屋に、ぴちゃ、ぴちゃという唇をむさぼる音だけが響く。
その音が私の脳内に響き、ゾクゾクと身体が震える。
ようやく離れた唇からは透明な糸が二人をつなぎ、プツリと切れた。
膝が抜け、肩で息をするを美東さんが抱き留める。
抱きしめる腕はとても強く、何か彼の感情が流れてくるような錯覚を覚える。
「このままだと君の全てを奪ってしまいそうだ」
息を吐くように熱を帯びた声。
彼から向けられる狂おしいほどの熱に全てを焼かれたいと思っている私を、彼は気づいているのだろうか。
全て奪って下さい。
そう答えようとしたら、今度は軽いキスをされた。
「駄目ですよ、簡単に答えては」
「そんなつもりじゃ」
美東さんの声はすっかりいつも通りの、優しくそして冷静な声に戻っている。
それが突き放されたようで悲しさが襲う。
私はそれに気づかないふりをして、本来ここに来た目的である怪我の話題を出した。