紳士な若頭の危険な狂愛


ヤクザと言えば和風の家を勝手に想像していたが、立派な今時の建物。
何台も停められそうな駐車場、玄関も洒落た作りでスロープが出来ていた。
モダンな廊下は幅が広く、全体的にゆったりな作りだ。
他にも驚いたのは、玄関入ってすぐにエレベーターがあったこと。
なんとなく気がついている。
この家は、いわゆるバリヤフリーへ配慮されていることを。
広い応接間に案内され、座り心地の良い大きなソファーに座らされる。
若い男性がお茶を出してくれ、言葉を発さずに頭を下げて部屋を出て行く。

「少しお待ちください」

案内してくれた男性も下がってドアが閉まり、私はすぐお茶に口をつけた。
既に緊張して喉が渇いてしまっている。
何を言われるのか、いや、いいことを言われることは無いのだろう。

数分してドアがノックされ、車椅子に乗ったラフなシャツ姿の年配の男性が入ってきた。
車椅子を押しているのは色っぽい若い女性。
彼女の手を借りて車椅子から、私の前のソファーに座り直した。
すぐに男の人がお茶を持ってきて頭を下げると出て行く。
女性はにこりと私に笑いかけ、部屋を出て行った。

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