冷淡上司と有能若頭は、過度に私を愛おしむ (短)
はじまり



街灯がチカチカ点滅し始める夕暮れ。
辺りの喧騒は、一瞬にして消え失せた。

ある人の言葉によって――


「志波を助けたいなら、俺を選べ」


そう言うのは、目の前にいる上司の矢吹さん。
そして私の隣で横たわっているのが、


『僕なら君を助けてあげられるよ』
『番(つがい)になろう』


生涯を共にすると誓った、行春さん。


「どういう事、ですか?
どうして矢吹さんが……」


この状況を理解できなくて。
さっきまで共に笑い合っていた行春さんが、気を失っているのを見て。

怖い――ただ、そう思った。


「早くしないと、志波が目を覚ますぞ。
お前は、俺と志波。どっちを選ぶ?」
「わ、」


私は――


開口一番。
震える声で、答えた時。

矢吹さんが、ただの興味本位なのか、それとも期待なのか――どちらとも言えない不敵な笑みで、私を見ながらニヤリと笑った。


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