あのメガネアイドルは…。

彼の瞳


右目を右手で覆う羽村。

真白「大丈夫?目に入った?」

羽村「…いや」

俯き気味の羽村。

真白は彼になにがあったのか心配で、横に並んで顔を覗き込む。



真白「え?どうしたの」

羽村は痛みというより焦りに近い表情。


羽村「笑うなよ」

さっきまでより少し不安を感じる声色。


真白「絵の具だらけの顔を見せ合ってたのに今更…」

真白が喋っている途中だった。


羽村が真白の方を向いて、右手をそっと下ろし瞑っていた右目を開いた。


真白はその瞳に、呼吸を忘れさせられた。



左目はいつものように真っ黒。

さっきまで隠されていた右目は、透き通るように澄んだグレーの瞳。


真白は理解するのに時間がかかった。



だけど、その瞳を見て意識する間もなく頭に浮かんだ単語が声になった。


真白「綺麗」

羽村はふっと笑った。

それからもう片方の目からコンタクトを外して水に流した。


左目も綺麗なグレーの瞳であった。

その目を細めて羽村は笑った。
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