あの道を、貴方と。

什壱

パタン、と襖を閉めてわたしの方を向いた芭蕉は、新の顔になって読唇術で指示を出す。

[よし、今すぐ忍者装束に着替えろ。怪しまれないようになんか会話しろ。俺も千夜に合わせるから。あ、布団に人がいる用にしておけよ]

[分かった。今日はどこ行くの?]

[今日は二本松城へ向かう。案内は任せろ]

[よかった。わたし、そんなとこ初耳だし・・・よし、着替えられたよ]

[よし、俺も準備できた。天井裏から外へ出るぞ]

ちなみに今の会話も最初の新の言葉以外はちゃんと[芭蕉]と[曾良]として喋ってたよ。ちなみになんて会話してたかっていうと、

「芭蕉様、どちらで寝られますか?」

「では、右の方で。曾良は左でいいですね?」

「えぇ、大丈夫です。明日は可伸様の所へ向かう、でよかったですよね」

「えぇ。では、明日も早いですし、もう寝ましょうか」

・・・はい、全く関係ない話です!分かってます!

とりあえず読唇術で新に言われた事にわたしは頷いて先に飛び上がって天井裏への道を作ってくれた新に続いて天井裏へ向かう。

新を見失わないように気をつけて無事外へ出る。

「時間がない。最速で行くぞ」

「分かった」

二人で頷くとフッと新の姿が消える。屋根から飛び降りた姿をしっかりみていたわたしは新に続いて飛び降りてさっさと走り出した新のあとについていく。

今回は最速って言われたからエネルギーを無駄なく使えて早い『なんば走り』で走る。ちなみに新も多分、『なんば走り』で走ってる。これ、歩き方独特だもんなぁ・・・

「もう少しだ!遅れをとるなよ!」

「え?早くない?」

わたしの体感だと、一時間ぐらいしか走ってないよ?こんなに早いんだね。

「とりあえず今日は二本松城の内部の地図を作る。侵入と脱出するのは一緒だが、内部の行動は別行動だ。千夜は北側、俺は南側を探る。今回の目的はあくまで内部探索だ。もし怪しい奴がいても深追いするな。そいつの特徴と部屋だけ割り出しておけ」

「ん。タイムリミット・・・あーわからないか。えっと、制限時間は?」

「夜明けまでだ。夜明けまでにここに集合」

「了解。じゃあ、行きますか」

「あぁ、がんばれよ」

「新こそ、ね?」

それが合図だった。二人はそれぞれの任務を達成するために移動する。

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