キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
サーシャはこの地を守る神獣様に興味が湧いた。
「カルラン様って実在するんですか?」
「さあな。カルラン様から直々に【隣人を大切に】っていう教えを頂いたってのは、どの伝承にも残ってるけど」
ルテも言っていた「隣人を大切に」の言葉はカルラ国に深く根付いている教えのようだ。
王様は祭壇の前に跪いて、美しい姿勢でお辞儀をして両手を祈りの形に組み合わせて祈った。祈りを捧げて、王様はさっと立ち上がる。これも王様のお仕事の一つらしい。
「昔は盛大にカルラン様への感謝の祭りもしていた。だけど、毒気が出始めてからは国はそれどころじゃなくてな」
カルラン様への信仰として仮面を被り続け、祈りも欠かさない王様の行動は全て、いまだに信仰心が厚い証明だった。
サーシャは祭壇に対する礼儀は知らなかったが、偉い神様にお供え物の発想はあった。故郷の村で毎年やってきた豊穣祭では盛大にご馳走が用意されたものだ。
「王様、カルラン様にお供え物しても良いですか?」
「別にいいけど」
「カルラ国の神獣様ですからきっと、カルラスープがお好きですよね」