キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!

副団長とブチ切れ



「「あ」」


いきなり救護用テントに入ってきたレオナルドに、サーシャと団長が声を揃えた。マズいところを見られたとハッキリ現れたその声に、レオナルドの青い目が色濃く光ったかと思うと突風が吹き荒れた。


「キャ!」


突風にサーシャが体勢を崩す。だが、地面に倒れ込む前にがっしりした腕がサーシャの腹に回った。突風で救護用テントは吹っ飛んでしまい、全員野外に放り出される。


(何?!)


サーシャが突然の出来事についていけないまま閉じていた恐る恐る目を開く。サーシャはいつの間にかレオナルドの片腕に軽々抱えられていた。


レオナルドのもう片方の屈強な腕は、団長の胸倉をつかんで持ち上げている。


「団長、俺の女に手出そうとかどういうつもり?」


レオナルドの地を這う声に背筋が冷たくなったサーシャだが、内容はピンと来なかった。小脇に抱えられたサーシャがレオナルドの顔を見上げると、青い瞳は光を失くして、冷たい怒りに満ちていた。


(目、こっわ!!)


どう見ても怒り心頭のレオナルドの腕を団長が払いのける。


「お、落ち着けレオ!これはサーシャ救済の苦肉の策で」

「枯れたおっさんがサーシャの唇に噛みつこうとして何が救済?わかった、竜巻に身体引き裂かれるってどういう感じが知りたいんだ?教えてやるよ」

(言うことも、こっわ!!)

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