キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
サーシャの肩に額を乗せて項垂れるルテが小さい声で囁く。
「魔法には、両手が必要なのよ……片手がなくなったらもう盾魔法が使えない……」
深く息を繰り返して、泣くまいとして震えるルテの背をサーシャは何度も撫でた。
今この瞬間、王都では盾魔法が消滅している。
王都に残された国民たちは盾魔法の文様が刻まれた王城内に、緊急で逃げ込んでいるに違いなかった。盾魔法の消失により、カルラ国で息をできる場所は、王城内のみとなった。
レオナルドに報告を終えた団長は、くちばしマスクに眼帯で、もう隻眼しか見えない。
「残念だが、俺たち騎士団はここまでだ」