キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!

なぜみんなを集めるのか、サーシャにはわからなかった。


「レオさん、何をする気ですか?」

「もう時間がない。決断は早い方がいいからな」


抱き上げたサーシャの首筋にレオナルドは顔を埋めて愛しい香りを嗅いだ。サーシャは抱き上げられているのに、縋られているように感じて、思わずレオナルドのさらさらな銀髪を撫でてしまう。


「王様の仕事をするから、見てて」


レオナルドが抱き上げたサーシャに縋って、頭を撫でられて、なんとか息をつく。サーシャの首筋から顔を上げたレオナルドが形の良い眉をハの字に下げて、優美な笑みをつくる。


サーシャには綺麗過ぎるその笑みが、泣いているように見えた。


「部屋に送る。ルテついてきて。俺一人だと疲れてるサーシャを、襲うから」

「馬鹿レオ……」


サーシャを抱いたまま食堂を去って行くレオナルドたちを見送り、食堂で1人きりになった団長は天井を仰いだ。


王城内の備蓄が切れる1ヶ月後が、カルラ国の本当の終わりだ。

王であるレオナルドの決断が過酷なものになるのは容易に想像できた。


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