キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!

誰よりも強い王様は、どこまで残酷なことをしなくてはいけないのだろう。


みんなが大好きだから、苦しまないように、手を貸すなんて。サーシャは泣いて泣いて、レオナルドの唇に涙味のキスを届けた。


抱き合って、キスをして、どうしようもない今を分け合い慰め合った。溶けるほど涙味のキスをしたサーシャは胸にレオナルドの頭を押しつけて強く抱き締めた。レオナルドが大きく息をして本音を零す。


「俺はお前に、一人になっても生きろって言うべきなのかもしれない」


サーシャがレオナルドの言葉の意味がわからず、胸に抱いた青い瞳を見つめるとレオナルドが優しく微笑んだ。


「俺らは飢えるけど、お前は違う」

「あ、そっか……私って、みんなと同じように死ぬことすらできないんですね」


レシピと魔力を食べるサーシャは、自分が化け物じみていることを痛感した。サーシャだけは魔力が補給されなくなった時に死ぬのだ。


「王城には魔力の宿ったレシピがたくさんあるからな。お前だけは食料がなくなってもここで生き続けることができる」


レオナルドはサーシャの胸に抱かれたまま顔を上げて、綺麗としか形容できない美貌で甘く囁いた。


「でも、俺が死ぬとき、一緒にお前のこと終わらせてもいい?」

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