忘れられた恋の物語
『では、あなた様の心残りについて確認させていただいてもよろしいですか。』

「心残りは…。」


言うのを少しためらった。

俺の心残りは好きな人が"死にたい"と思ってしまうほど苦しんでいたのに、何も出来なかったことだ。

それをなんと言えば良いのかわからなかったし、何よりも俺が死んでから今までの間に彼女にもしものことが起きていたらと思うと、それを知るのが怖かった。


「俺の心残りは…1人の女の子です。」

『女の子ですか?』

「はい。…ずっと好きだった人がいるんです。でも俺は病気でしたし、余命宣告もされていたので彼女には関わらないようにしていたんです。1度会ったことがあるだけの人でも、死んだって聞いたらショックを受けると思うので。」

『…本当に心からお好きだったんですね。その方のことが。』

「…はい。初恋でした。」

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