忘れられた恋の物語
次に目を開けると、目の前には見慣れた景色が広がっていた。俺が入院していた病院の病室だった。


「芦品さん、大丈夫でしたか。」


声をかけられびっくりして後ろを振り向くと、飛田さんが立っていた。


「あっ…はい大丈夫です。」

「それなら幸いです。この移動時間を長いと感じる方もいらっしゃるので。」

「そうなんですか?一瞬でしたけど…。」

「この時間の感じ方は、"その人の心残りの大きさだ"などと言われています。"心残りが大きい人は元の世界に戻りたい気持ちが強いから、どんなに長い道のりでも短く感じる"のだと。」

「なるほど…。」

「この仕事をしていると耳に入ってくる言い伝えのようなものなので本当のことはわかりませんが。この話が本当でしたら、芦品さんは心残りが大きいということですね。」

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