忘れられた恋の物語
俺は生きていた頃から彼女に何かしたことがなかった。それなのに1日で出来事が進むと思っていた自分が馬鹿だった。


「生前に逢田さんは芦品さんの顔を見たことがないので、逢田さんからはあなたが本当の姿で見えているはずです。」

「あっ!確かに逆に考えたら、俺を見たことがない人からは本当の顔のままで見えるってことですよね。」

「はい。だから外見も中身も芦品さん自身のありのままの姿で逢田さんと向き合えるということです。だから頑張ってください。」

「…やっぱり飛田さんって良い人ですね。」


飛田さんに励まされて俺は気を取り直した。

親不孝だと思われるかも知れないけれど、"心残りは?"と聞かれて両親ではなく彼女が一番に思い浮かんだ。

彼女はそれくらいに死んでも自分の中に残り続けた"初恋"だった。




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