忘れられた恋の物語
鏡から目が離せなくなった。

そこにいる自分はずっと想像していた姿だった。

治療で髪が抜け落ちた自分を見ながら諦めていた夢だ。

『思い切り明るい色に髪を染めること。』

俺はすぐに飛田さんに連絡をした。するとすぐに目の前に戻ってきてくれた。


「どうされました?」

「これ…どうして金髪なんですか?」

「お嫌でしたか?」

「いえ!ずっと夢見てたことです!もしかしてこれも制度の対象の1つなんですか?」


飛田さんは少し頷いて答えてくれた。


「はい。ご利用者みなさんのことは、大体は把握されていますから。出来る範囲で叶えさせていただくのが私たちの仕事です。」

「うわあ…本当に感動します。ありがとうございます。」

「いえ。」

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