忘れられた恋の物語
それから斗亜は本当に毎日放課後に、学校まで私に会いに来てくれた。そしてその日あった出来事や何気ない話をしながら、私の家まで一緒に帰る。

普段と変わらないようなその時間が本当に幸せだった。

でも前とは変わったところもある。

それは学校から家までの道のりを手を繋いで歩くこと。あとは私の家に着いた時、周りに人がいなくなると斗亜が私を抱きしめてくれること。

もっと一緒にいたいと私が言うと斗亜は、『学校に行って疲れてるんだから早く休まないとダメ』とまた小言を言っていた。

でももう時間がないのに。もっと斗亜といたいのに。

『私が健康だったらもっと長く斗亜といられたのに』と悲しくなった。

そうして放課後の斗亜との時間は速すぎるスピードで流れていってしまうのだった。


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