あなたの子ですよ ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~【短編版】
そんな言い訳のような言葉を口にしながらも、ウリヤナを受け入れてくれるような場所があるとは思えない。だからこそ、修道院を選んだのだ。そこですら、このような状況になってしまっては難しいだろう。
「これから探すのであれば、その探した先が俺のところでも問題ないよな?」
「そう、そうですね」
「だったら、決まりだな。まだ、今の時期なら移動も負担にならないだろう。それに、俺が魔法でなんとかしてやるから、難しく考える必要はない」
「あ、はい」
返事はしたがいいが、本当に子を産んでいいのかどうかを悩んでいた。
実感はない。もしかしたら、レナートの嘘かもしれない。だが、月のものはきていない。
たくさんの否定の言葉が、ぐるぐると頭の中に浮かび上がっては、消えていく。
「迷っているのか?」
「え?」
「お前の腹の子が不安がっている」
「そうですね。父親のいない子になりますから」
だからといって、クロヴィスには絶対に伝えたくない。彼とはもう縁を切りたい。いや、切ったのだ。
そっと腹の上を撫でる。医者にもみてもらっていないし、まだわからない。
信じられないという気持ちがありながらも、レナートの言葉は素直に受け入れられる。
「だったら、俺がその子の父親になってもいいか?」
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