君と3ヶ月の思い出を

日常

私の目の前には怖気付いて真っ青な顔をして尻もちをついているさっきナンパしてきた3人の男達と長年私が片想いをこじらせてきた幼馴染が居る。その異様な光景はある日を思い出させる。


……
「月ちゃんをいじめるな」
公園で慧を待って砂場で遊んでいた私(当時小学3年生)を上級生の男の子3人ぐらいの子たちが生意気だと言っていじめてきた。そこに帰ってきた慧は泣きながら3人の上級生をポコポコ殴った。幸いその場にいる全員が怪我をしない間に3人の上級生は帰って行った、ポコポコ殴っていた慧は泣きながら
「月ちゃん大丈夫?」
と聞いてきた。いやいや、慧の方が大丈夫じゃなさそうだと今では思ってしまうが。その時は自分もほんとに怖くて、慧が助けに来てくれたのが嬉しくて泣いてしまってと、その日は色々大変だったのを覚えている。今思えばあの日から私は慧に恋をしているんだと思う。この長い長い片想いの始まりを思い出して、やっと今現在目の前で起こっていることを思い出した。
「慧」
私は慧の名前を呼び、慧の意識をなんとか自分に向けることに成功した。慧はすたっと立って私の元へ来て、膝を着いた。まるで王子様のように。
「月、ごめんな、怖かったよな」
その顔は過去の泣きじゃくっていた可愛い慧とは違う。私をまっすぐ見るその瞳に吸い込まれてしまいそう。顔つきだって、昔は目がくりくりしてて、可愛いかったのに今ではキリってしてる顔立ちしてて俳優顔負けのイケメンに育ってしまった。
「大丈夫だよ。慧こそ怪我ない?」
「大丈夫。」
ぶっきらぼうに見えるけど本当はすっごく優しくて、かっこいい私のヒーロー。やめて欲しい、こっちの気も知らないのに、私だけがどんどん好きになっていく。もう、辞めたいのに、。慧が心配そうにこっちを見ている
「ほんとに大丈夫か?」
「うん!それより帰ろおばさんが待ってる」
そうして私たちは家に帰っていく。私は慧を好きになるたびに失恋したような気持ちになる。それは私に理由がある。そんなことを思いながら慧と2人で歩いていく。この時間が続けばいいのに…
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