卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「あぁ、いないよ。いたら先生と遊ばないでしょ」
「そ、そうだよね。社長で、そんなに格好良いからモテそうなのに」
「まぁ、何人かと付き合ったよ。でも、どうしても頭から離れないことがあって。直ぐに別れた。もう、結婚しないつもりでいたしね」
「へぇ、そうなんだ」
「誰のせいだと思ってるんだよ」
「ん、何?」
北見くんはあきれ顔で笑ってた。
「でも不思議だね。卒業してから月日が経って、北見くんがお店を訪ねて来て、再会するなんて」
「そうだよね。独身の先生に再会出来るなんて、嬉しくて運命を感じたよ」
何気なく言う言葉・・・
どういう、意味なの?
その言葉は口にせず、聞こえ無いふりして、私は、ただ胸がドキドキしているのを気付かれないように、車内で流れる歌を口ずさみながら、外の景色を見ていた。
「あっ、着いたよ」
そこは、バスケットコートから少し離れた、ショッピングモールだった。
「ちょっとブラブラ歩こうよ」
お店を回って、あれが似合うとか、大きなぬいぐるみと私の大きさを計ったり、ありふれた2人の会話で、ずっと笑いが絶えない時間が過ぎた。
楽しい。まるでデートみたい。
こんなに心から笑ったの、何年ぶりだろう。
「あぁ、笑いすぎてお腹空いた。先生、何食べる?」
「あそこのスパゲティ屋さんどぉ?」
「・・・先生、俺達、白の服だけど、飛ばさない自信ある?」
「・・・無い」
「そうだよね、俺のTシャツまで危ないわ」
「そこまでじゃないわよ。じゃあ、あそこなら何でもあるから行こうよ」
2人はあれこれ悩んで、その日のランチメニューのハンバーグ定食にした。
「外で食事するなんて、久しぶり。うん、これ、凄く美味しい!」
「あんまり出掛けないの?」
「うん。美和は仕事だし、他に仲良かった子達は、皆結婚したから、声掛けずらくて」
「先生は、前の彼氏とデートとかしなかったの?」
「うん、何かと仕事って言ってね」
「そう・・・」
「せっかくのご飯が美味しくなくなるね。もうこの話は止めよ」
「俺がこれから色々連れて行くからさ。楽しみにしといて」
「北見くん・・・」
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