卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「奈菜の元彼よ。あんなことして、離婚したから会いに来て、復縁迫るって、何考えてるんだか」
「復縁・・・」
「奈菜なら許してくれて、寄りを戻せるって思ってるんじゃない」
美和が私との過去を、北見くんに説明してたけど、私は気持ちの整理が付かず、あまり会話が頭に入ってこない。
「奈菜先生・・・」
「私、今日は帰るね。美和、お疲れ様」
「うん、お疲れ。気を付けて帰りなよ」
私はバッグを持ち、店を出て、足早に家に帰った。

もやもやした気持ちが払拭できない。
お風呂から上がると、携帯に着信を知らせる通知が表示されていた。
「北見くん…」
さっきは大介のことで頭いっぱいで、北見くんに構ってられなかった。
謝らないと。
「もしもし、北見くん。電話くれたのに、今、気付いて」
「先生、大丈夫?」
「うん。さっきはごめんね。愛想なく帰っちゃって」
「やっぱり心配でさ、大丈夫なの?」
最近、大介のことを気にしなくなったのは、北見くんに再会したから・・・
北見くんの声を聞くだけで安心する。
もやもやしてた気持ちも消えていく。
いつも私を心配してくれる優しさが心に染みる。
そう、それはずっと前から・・・
「うん、大丈夫だよ」
「ねぇ、今から会える?」
「もう遅い時間だよ」
「今から迎えに行くから。いいだろ?」
「う、うん。いいけど」
「じゃあ、家の近くに着いたら連絡する。家で待ってて」
「うん、待ってる」
電話を切って、私は、髪を無造作に一つに纏め、慌てて出掛ける準備をした。
北見くんに会いたい。

北見くんから着いたと電話が入り、家の下に行くと、北見くんが立っているのが見えた。
車に近づくと、
「先生にどうしても会いたくて。遅くにごめんね」
「大丈夫。でも・・・こんな格好で良かったかなぁ」
「大丈夫だよ」
「これからどこに行くの?」
「2人でゆっくり話したいから、うちに来て」
それを聞いて、私は助手席に乗ってから、初めて男の人の家に行く事に、ドキドキしていた。
大介は、私の家に来るばかりだったから…
今考えると、大介の家には彼女が住んでたんだよね・・・
ほんと、私って、何で早く気づかなかったんだろう。
しばらくして着いたタワーマンションを見上げると、その大きさにびっくりした。
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