卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
買い物が終わり、一旦、荷物を車に置いて、夕食を予約してた近くのレストランに向かっていた。
「あれっ?耀じゃない。久しぶり!」
「・・・理江」
耀に話かけたのは、ハイウエストのマーメイドスカートに胸元を強調したトップスを纏い、ストレートの髪が腰まである、艶っぽく綺麗な女性だった。
「何か・・・雰囲気変わったね。そうだ、時間ある?久々に遊ばない?」
「遊ばないよ」
「いいじゃない。別れてから耀に会いたかったんだ」
その女性は耀に抱きつこうとした。
「触るな!」
耀はその人の手を払い、私の横に来た。
「えっ、もしかして、この人が耀の?嘘でしょ、耀」
「俺の彼女だ」
私の肩を抱き寄せた。
その人は、私の足元から蔑むように顔を見た。
「へぇー、耀も変わったね。女の好みもそうだけど、ベタベタするのあんなに嫌がってたのに、人前でもそんな事するんだ。まぁ、耀ならいつでも相手するから。飽きたら連絡してよ」
「俺は、彼女以外は眼中にない。もう、俺の事は忘れろ。行こう」
私の肩を抱いたまま、耀はその場から離れた。
「奈菜。ごめんね、嫌な思いさせて」
「ううん、大丈夫」
本当は全然大丈夫じゃない。
若くて綺麗な彼女。
どう見ても耀に似合うのは、さっきの彼女の方だ。
自分と耀が歩いている姿が、クリスマスを彩るお店のガラス張りに写るのを見て、凄く惨めな気持ちになった。

それからは、心から笑うことが出来ず、それでも耀が気にしないように取り繕った。
夕食はクリスマスのディナーメニューで、大好きなケーキも出て来た。
きっと、凄く美味しいんだと思う。
でも、さっき彼女が放った言葉が、脳内でリピートし、美味しさを堪能出来なかった。
「奈菜、どうだった?ここ、なかなか予約が取れないらしくて、今日、取れて良かったよ」
「うん、凄く美味しかった。ありがとう」
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