卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「大体のことは父から聞きました。父は、本当は教師を続けたかったと思います。でも、会社を引き継がないといけなくなって。会社の経営も落ち着いて、手伝う程度になった今、余生をどうしようかと迷っていたところなので、今回のお話をいただいた時、正直嬉しかったです」
「そうでしたか。では、息子さんは今回の件については、賛成していただけますか?」
「はい、父がやりたいのなら、僕は何もいいません。協力もさせていただきます。僕自身も今後の事を考えだしていたところでしたから」
「高山さんはいかがでしょうか」
「私は・・・正直、自信はないのですが・・・ただ、やってみたい、その気持ちはあります」
「あの、私でよければ、しばらくお手伝いさせて頂きます。子供達の特徴もお伝え出来ますし、皆もその方が新しい環境に早く慣れると思いますので」
「僕も協力しますよ。新庄先生となら、同じ学校に居たので、共感し合えると思いますから」
高山先生の言葉に、耀の眉毛がピクッと上がり、一瞬、顔が引きつったのがわかった。
「では、そのお話、受けさせてもらいますよ、北見さん」
「宜しくお願いします」
話は纏まり、耀は美和に問いかけた。
「山坂さん、宜しいですか。進めても」
「はい。高山さん、ありがとうございます」
美和は高山さんに深々と頭を下げた。
私は、寂しさを感じつつも、子供達の事が解決して、ほっとした。

話は決まり、詳細については、後日、耀が提案書を作成して、皆で詰めていこうという話になった。
「では、お客としてまた来ますね、山坂さん」
「はい、是非お越し下さい」
高山さんは先にお店を出て行った。
「では、僕もそろそろ失礼します」
高山先生は、私の方へ近づいて来た。
「新庄先生とまた出会えるなんて、思ってもみませんでした。これ、運命ってやつですね。それに、また一緒にお仕事出来るなんて、嬉しいです」
「本当に。びっくりですね」
2人で話をしていると、そこに耀が私の横に来た。
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