好きになってよ、俺のこと。
「あ、東くんってもしかして……きゅ、吸血鬼なの?」
身体も声も、勝手に震えてしまう。
「うん、そうだよ。もしかして、今頃気づいたの?」
「だっ、だってこの前、東くん……」
席替えで、隣の席になったあの日。
「『同じ “ 人間同士 ” 仲良くしよう』って、私に言ってたじゃない」
「あー、あれか。人間って言ったほうが中城さんに警戒されなくて良いかな? と思って言ってみたんだけど。まさか本当に信じてくれてたなんて。はははっ」
何がおかしいのか、東くんが笑い出す。
「今日だって幼なじみのプレゼントを口実にしたら、普通に来てくれたし。僕は最初から中城さんの血が目当てだったのに、まんまと騙されちゃって」
「ひ、ひどいよ東くん、嘘ついてたなんて」
「そんなの、騙されるほうが悪いんだよ」
耳元で、東くんが低い声を出す。
東くんのことを優しい人だなって、さっき一瞬でも思ってしまった自分がバカみたい。
この人も結局は、最初から私の血が目的で近づいてきたんだ。そう思うと、なんだか悲しい。
「さあ、お喋りはここまでにして。早く僕に、中城さんの特別な血を味わわせてよ」
強い力で、私は東くんに腕を掴まれる。
「は、はなして!」
腕を解こうとするも、私の力ではビクともしない。
「そんなに嫌がらなくても、血をもらったらすぐ離してあげるよ」
東くんの口から見えた鋭い牙に、ゾクリとする。
「い、嫌」
あまりの恐怖に、目からはポロポロと涙が溢れてくる。
嫌だ、嫌だよ。誰か、助けて……!