ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「りょ! よっぽど緊急事態なんでしょ? あたしのことは気にしなくていいから!」
「じゃあ、また明日ね!」
サクラは手早く髪を結い上げ、メイドのあとを追ってパタパタと走っていく。よほど急ぎの案件らしい。あとに残されたエミも、カップに残った紅茶を飲むと、サクラの部屋を出た。
廊下に出たエミは、身体をぶるりと震わせた。いくら温暖なガシュバイフェンとはいえ、夜は冷える。
「うー、さむっ……」
「ああ、そうだな。今宵は、なかなかに冷え冷えとした夜だ」
思わず口に出た独り言に、高慢ちきな男の声が返ってきた。エミはびっくりして素早く振り返る。
「えっ、誰?」
「フン、いくらお前が蒙昧無知と言えども、元婚約者の麗しい声を忘れたとは言わせないぞ」
廊下の暗がりから出てきたのは、エミの元婚約者である、第一王子エリックだった。
「じゃあ、また明日ね!」
サクラは手早く髪を結い上げ、メイドのあとを追ってパタパタと走っていく。よほど急ぎの案件らしい。あとに残されたエミも、カップに残った紅茶を飲むと、サクラの部屋を出た。
廊下に出たエミは、身体をぶるりと震わせた。いくら温暖なガシュバイフェンとはいえ、夜は冷える。
「うー、さむっ……」
「ああ、そうだな。今宵は、なかなかに冷え冷えとした夜だ」
思わず口に出た独り言に、高慢ちきな男の声が返ってきた。エミはびっくりして素早く振り返る。
「えっ、誰?」
「フン、いくらお前が蒙昧無知と言えども、元婚約者の麗しい声を忘れたとは言わせないぞ」
廊下の暗がりから出てきたのは、エミの元婚約者である、第一王子エリックだった。