ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―

聖女、笑う!

 思いもよらないエミの反応に、ディルとセバスチャンは驚いてピシッと硬直する。

「や、やりらふぃぃ……?」

 不自然な沈黙の中、かろうじてディルが、聖女エミの呪文じみた言葉を復唱した。それがどういった意味かは全く分からないが、少なくともディルが予想していた反応ではない。
 真意を探るように、ディルはエミの顔をまじまじと見つめる。しかし、エミの天真爛漫な微笑みには嘘偽りの影などどこにもなかった。

「いや、マジでこんなイケメンと結婚できるとかサイコーじゃんね」
「……な、なんだ? お前は、あそこまで私に言われて、怒っていないのか?」
「はにゃ? なんで私が怒るの?」
「いや、私はその、……初対面からお前を試すようなキツい言い方をしてしまったし……」

 ディルは口ごもる。
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