ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 エミはおろおろとディルを見上げる。

「ええっとね、一応さっき話してたヒトはこの国の王子様なんだけど、よかったのかな?」
「そんなもの、知らん」

 あっさりそれだけ言うと、ディルは大きなため息をついて、それからエミの細い身体を抱きしめた。エミが驚いて目を見開く。

「ふぁっ……!?」
「すまない、しばらくこのままでいさせてくれ。ここまで走って来て汗臭いかもしれないが」
「ええっ、いいよ! 汗臭いとか思わないし、どんどん抱きしめてほしいっ♡」
「私の婚約者が可愛すぎる……。はあ、間に合ってよかった。あの男に触られたのだけは、どうも許しがたいが」
「あっ、えっと……ごめんなさい?」
「謝るな。お前がなにも悪くないのは知っている」

 ディルは愛おしそうにエミの金髪に頬を寄せる。

「……理由はわからないのだが、こうしてお前を抱きしめていると、胸の中がふわっとする」
「えーっと、ふわっとするの?」
「そうだ。これまで感じたことのない気分になるのだ。それでいて、胸の中がもぞもぞする感じもする……。心拍数も無駄に上がる。いや、別に不快ではないのだが」
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