ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「聖女様が婚約者になられて、ソーオン伯も幸せでしょう」
「えっ、なになに、急に褒められると照れピなんですけど! でも、あたしだってまだまだだよぉ」
「前向きかつ謙虚で、親しみやすいそのお人柄に、ソーオン伯は救われるところも多いでしょう。天才は、孤立するものです。ソーオン伯も例外ではない」
「……ふぅん?」
「だからこそ、支えてあげてくだされ」
「うん、もちろん!」
 
 エミは力強く、迷いなく頷いた。そんなエミをまぶしそうに見つめて、老オルコは立ち上がる。

「それでは、もう少しだけ講義を続けましょう。次はどんな魔法がよろしいか」
「えーっと、メイクが崩れないタイプの魔法がいい!」
「ほほう、いいですぞ。それでは雷なんていうのはどうですかな?」
「おけまるー!」

 雲一つないうららかな昼下がりの庭園に、超巨大な雷が落ちて大騒ぎになったのは、それから数分後のことだった。
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