四月のきみが笑うから。


「見れた……先輩と一緒に、見られたんですね」

「これが、俺のいちばん好きな景色だよ」


 果たされた、約束。

 諦めなくてよかった、向き合ってよかった。

 自分をさらけ出して、相手の心に触れられてよかった。


 今までの道で間違えることは何度もあったけれど、今ここに辿り着くための道のりとして、それらは全て間違いではなかったのだ。すべて、正解の道。


 視界に映るすべてが青色に染まる。

 先輩の瞳だけではなく、髪も、肌も。全部が鮮やかな青だ。


 ぽろ、と一筋の涙が頰を伝って落ちる。


「瑠胡の目も、青」


 わたしの目を覗き込んだ先輩が、そう言ってふっと笑う。

 至近距離で見つめられて、ドクドクと鼓動が響きだした。


「涙まで青い。泣くなよ、瑠胡」


 呆れたように笑う先輩の指が伸びてきて、優しく目元をなぞる。

 それだけで、留まることを知らない涙はどんどん溢れ出していくから。


「しょうがねえな。向こう向いて、瑠胡」


 意味がわからないまま反対側を向くと、そんな言葉の後にぐっと抱き寄せられて、先輩の香りが鼻先をくすぐった。


「出会った時から、こうしないと泣き止まねえから」


 景色が見えるようにと、そんな配慮までされた結果、バックハグのような状態になってしまった。


 どうしてだろう。

 死のうとしたあの日、抱きしめられたところからわたしたちは始まっているのに、あの時とは心音がまるで違う。


 今はただ、トクントクンと、聞いたことのないほど甘やかな音が、控えめに鳴っているのだ。
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