四月のきみが笑うから。
「……迎えにきてくれてありがとう」
ぽつりと先輩が呟く。
まるでこの瞬間を噛み締めるように。
「いえ」
「よくここが分かったな」
「まぁ……好きな人の、ことなので」
漫画やドラマで、ヒロインの居場所をヒーローがちゃんと分かって助けに来るシーン。
その逆も然りだけれど、読むたびに違和感を覚えていた。
どうして分かるのだろうと、単純な疑問だった。
だけど、今ならなんとなく分かる。
自分でもよく分からないけれど、好きだから、わかるのだ。
「……瑠胡ってわりと無自覚なところあるよな」
「そう、でしょうか」
「うん」
迷いなくうなずく先輩と一緒に、約束の景色を見つめる。
ふわりと香る先輩の香りが、今はやけに近くて、波の音に勝るくらい大きな鼓動が響きだす。