四月のきみが笑うから。

「人の心を助ける仕事がしたい」


 臨床心理士、公認心理師、心理カウンセラー。

 さまざまあるものの中で、これといった職業はまだ決まっていないけれど、自分に何がしたいのか、どんなことに興味があるのか、まっさらな状態から、ここまでキャンバスを塗ることができた。


『……いい夢だね。応援しているよ』


 頭に直接響くような声。

 夢の中よりも低くて、あたたかい声だった。


 静かに微笑んだハクトくんは、『ありがとう』と小さく呟いて、すうっと溶けるように消えていく。水色の瞳が、最後に小さく揺れた。


「珀都くん……」


 くん呼びに違和感を感じてしまうほど、彼はどう見ても高校生だった。

 誰も見られなかった姿を、わたしだけが知っている。


 わたしの将来の夢は、ハクトくんしか知らない。

 あの青い夢を通して、わたしたちは互いに秘密の共有をしたのだ。

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