四月のきみが笑うから。

 恋人と言っても通用するのではないかと思うくらい、とても仲がよく離れ難かった。

 きっとわたしがここまで恋愛皆無で成長してきたのは、彼女よりも優先順位が上になる人が存在しなかったからだろう。


 彼女に対して恋愛感情を抱いているわけではないけれど、他の人たちが恋人に向けるであろう情熱のようなものを彼女に注いでいたのは確かだった。

 そして彼女もまた、同じように思ってくれていたはずだ。


 女の子同士の友情というのはそんなものだろうと思う。

 普通の友達と親友は、まったく別物だ。

 親友の前というのは、家族の前よりも素の自分でいられる唯一の場所なのだ。


 親友の前では必死に背伸びをして、自分を取り繕う必要などない。
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