ドバイから出られない!
詐欺師の仲間入りをしたきっかけは、病死した父の残した借金だった。父が亡くなってすぐ、悲しみに浸る間もなく私の前に入れ墨を全身に入れたカタギとは言い難い人が押しかけ、借金のことを告げた。

奴らが告げた借金の金額は、まだ会社員として働き始めたばかりの私には到底払うことのできない金額だった。その頃の私には奨学金の返済もあったから。

頼れる親戚もおらず、母も早くに亡くなっている私が払える金額ではなくて、でも払えないのなら私は奴らが経営している風俗店で働かされることになる。それに困った私は、闇バイトの世界へと飛び込んだ。自分の体を売るよりはマシだと思ったから。

運良く警察に捕まることから逃れ続けた私は、気が付けば借金も奨学金も返済を完了していて、詐欺グループの幹部になっていた。幹部になったら仕事はとっても楽で、年寄りの家に電話をかけるのも、年寄りの家に行って現金を受け取るのも、下の人間がやってくれるようになって、ますます捕まるリスクが低くなった。
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