何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました
「実は、能力を沈める枷は確実ではないの。それで前の聖女は幽閉の苦痛が嫌になり、能力を使おうとして枷を壊したわ。膨大な能力に枷は耐えられなかったみたい」

「その後はどうなったのですか・・・?」

「枷を壊して力尽きた聖女は能力を使えず、体調を崩して能力を使う所ではなくなった、と王家に残された記録には書かれていたわ」

「そうですか・・・」

恐ろしい話に、お母様が私の能力を隠した理由が分かった。

お母様は私を守るために必死だったのだ。



「ねぇ、そんな能力を持った者は要らないと思わない?」



王妃様が私と目を合わせる。

「母上、それ以上は・・・!」

「そうね。・・・ただ、私が言いたいことは一つ。ティアナ・フィオールという女性が嘘をついていなくて良かったということよ」

王妃様はそう仰ると、美しく微笑んだ。

「ロイドをよろしくね」

微笑んだ王妃様は一人のただの母親に見えた。
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