何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました
「いえ、フィオール家の者だから、一応は必要でしょう?前の聖女様のようなことがあっては困るのだから」

「どういうことでしょうか・・・?」

私が王妃様に質問をすると、王妃様は美しく微笑まれた。


「貴方は知らなくていいのよ。・・・気にしないで。我が王家は、貴方を歓迎するわ」


ここで引かなければいけない。

これ以上は不敬になる。

でも・・・!

「前の聖女様は、何かを起こしたのでしょうか・・・?」

恐る恐るそう問うた私を王妃様が鋭い目つきで見つめる。

「ああ、貴方はフィオール家だものね。知っていても当然ね。前の聖女は、「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」能力を持っていたの」

私と同じ能力を持っていたことは、母から聞いていた。

そして、生涯能力を沈める枷《かせ》をつけられ幽閉された、と。

しかし、それがどうして今関係あるのだろう?
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