何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました
コンコン。

「リアーナで御座います」

客間の扉をそっと開けて、深く礼をした後、可愛く微笑んで見せた。

「リアーナ嬢、街ではあまり話せず申し訳なかったね」

「いえ、大丈夫ですわ。・・・その代わり、今日はリアーナともお話して下さいますか?」

「ああ、勿論。・・・今日は、ティアナ嬢は不在なのか?」

だめよ、リアーナ。

いくら悔しいからって、不貞腐《ふてく》れてはダメ。

気を引きたいなら、あの日のお姉様の様に涙を見せないと。

私はわざと目に涙を溜めて、ロイド様に近づいた。

「ロイド様は私では不満ですか・・・?お姉様は、ロイド様にあまり会いたくなさそうだったので、私が名乗り出たのです・・・」

ロイド様の顔色は変わらない。

「・・・そうか。では、今日はリアーナ嬢の話を聞かせてくれるかい?」

「はい!」
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