腹黒王子の甘い寵愛。
そして……背後から、愛らしい声が聞こえてきた。


「朔くん……!あ!秋山さん!」


バッと後ろを向いて、瑠奈が名前を呼んだことに喜んで目がキラキラになっているのを自覚した瞬間、結都が呼ばれて一気に表情が曇る。


「この間は本当にありがとうございました」

「あはは、あのぐらいなんてことないよ」


結都が愛らしい瑠奈の頭を撫でようとする。

その手をパシッと振り払って、瑠奈を抱きしめて結都を睨みつけた。


「おい結都……お前の汚い手で瑠奈を触るな」

「あはは、ひどいなぁ。桜井、この間撫でられた時猫がゴロゴロ鳴くみたいに気持ちよさそうにしてたけど」

「……は?瑠奈?」

「え、ええ……!?わ、私……!?」


じっと瑠奈を見つける。

ぐるぐるした目をして焦りながら、「そんなことない」と否定してきた。


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