【受賞】コワくてモテる高杉くんはせわが好き。
○せわの家の玄関(夕方)
チャイムが鳴って、理人が家に上がる。
理人「これ、母さんから」
せわ「わ……じゃがいもが沢山!」
理人「親戚から貰ったんだってさ。これでコロッケでも作ろ」
せわ「やった〜」
理人「あとこれも。お土産で貰ったチョコだって」
せわ「色々気を遣わせちゃって悪いなぁ。今度お礼しないと」
理人「気にしなくていいよ」
二人でキッチンに並んで、コロッケを作る。一緒に丸めたあと、理人が油で揚げてくれる。
せわ(横顔、綺麗……)
ぼんやりと横顔を見るせわ。
理人「そんなに見られてると、顔に穴が空くんだけど」
せわ「わっ、ごごごめんっ! つい、綺麗だなって……へへ」
理人「…………」
そのまま黙々とコロッケを揚げる彼。しかし、耳がほのかに赤くなっている。
せわ「もしかして、照れてる?」
理人「照れてない」
せわ「嘘だ。耳真っ赤だもん」
理人は一旦火を止めて、せわの両頬をつねった。
せわ「いたたっ」
理人「生意気」
一緒に夕食を食べたあと、二人でテレビゲームをする。テレビ画面で複数の車が走っている。
理人「せわ、逆走してる」
せわ「わっ、これどうなってるの〜!? あっ、池に落ちた!」
理人「下手すぎて逆に尊敬するわ」
ゲームが絶望的に下手なせわ。なぜか全然上達しない。でも、何度も理人に勝負を挑んでいる。理人の68連勝中。
お土産に貰った高級チョコを食べる。
せわ(美味しい……これ、お酒入ってる)
ふいに、せわの膝を枕にする理人。せわの心臓がどきっと跳ねる。コントローラーを握っている彼に、おずおずと尋ねる。
せわ「理人」
理人「ん?」
せわ「好きな人……いるんだってね。乃亜ちゃんに聞いちゃった」
理人「いるよ」
せわ「…………」
せわモノローグ(好きな人がいるって分かってる)
せわモノローグ(ただの幼馴染としか思われてないことも、知ってる。でも……)
せわはぎゅうとコントローラーを握り締め、呟いた。
せわ「――好き」
せわ「私……理人のことが好き。大好き」
理人は目を大きく見開いて、言葉を失っていた。
一方。せわの頬は、チョコに入っていたお酒のせいで紅潮している。


