新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
午後からの授業は梅雨の蒸し暑さも手伝って、喉は渇くし頭痛はするし、机にうつ伏せていた。

「おい、柊。地味子が呼んでるぞ」

6時限目後の休み時間、椿は俺を訊ねてきた。

地味子-ー誰のことかと思った。

「紫陽花の結果が気になって。生徒会室に行く前、一緒に確認しませんか」

椿は何だかイキイキしていた。

「昨日の夜はワクワクして眠れなかったんです」

「わかった」

昨日、泣いていた椿が今日は笑っていることが、嬉しい。

7時限目が終わったら、テラスハウス裏で落ち合うことにした。

「椿だよな。地味子の」

椿とわかれた後。

男子生徒が数人、俺を取り囲んだ。

「地味子、あんなに明るい奴だったか」

「お前、地味子と何があったんだよ」

椿はどうやら「地味子」と呼ばれているようだ。

「生徒会長が幼なじみで、生徒会室にはたびたび出入りしていて、椿とは最近よく話す」
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