新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
「椿とローズティーを淹れた日」

霞月に言われて、俺は笑い出していた。

「霞月はお見通しなんだな。此処に誘ってまだ何日も経たないのに」

「観ていれば判るさ」

霞月はフッと笑った。

「椿の一生懸命さと真面目さ、いいなと思って……」

霞月はポツリポツリと話しだした俺を見守るように、頷きながら聞いている。

「でも、副会長たちから煙たがられていて……俺なりにどうにかしようと。頑張ってはみたけれど、何も変わらなくて……」

自分の不甲斐なさを吐露するのが悔しいのか、何もできなかった自分が情けないのか、目頭が熱くなった。

「霞月なら何とかしてくれるんじゃないかと……」

「!? 何で俺?」

「なんとなく。椿は霞月になら何でも話せると思ったんだ」

「なんだよ、それ」

俺は苦笑いしかできなかった。

「俺さ。椿にコクって振られたんだ、暮れに」
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