新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
「あったぞ。薔薇側にはラナンキュラス、こっちには薔薇が映っている」

「OK。そいつを両方、撮影して。椿、鏡の後ろには何がある?」

椿は鏡を動かさず、薔薇と鏡の隙間から鏡の裏に入った。

「あ……」

椿はスマホを取り出し、片っ端から撮影を始めた。

「椿?」

「画像を送ります。見てもらった方が早いので」

椿は数10秒、スマホのビデオを回しつづけたようだ。

「これは、やらかしてるよな」

「はい、薔薇事件の証拠ですね」

椿は鏡の裏から出てくると、監視カメラに向かってVサインしてみせた。

「柊、いいものが撮れたぜ」

「柊さん、温室を出ます」

「わかった。戻ってこい、慎重にな」

俺は椿と副会長、温室の外で見張りをしてたいるガンちゃんに伝えた。

椿と副会長が温室を出たのを確認し、温室の監視カメラに仕掛けたフェイク画像を、元の監視カメラに切り替えた。
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