冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
そう言って、もっと距離を詰めてくる飛鳥馬様。
肩から足先までがピッタリとくっついているせいで、だんだんと鼓動が速くなる。
……よくもそんな恥ずかしい言葉が簡単に出てくるな。
少しでもドキドキしてしまった自分が許せなくて、ムスッとした表情を露わにする。
「……それと、いつになったらおれのこと名前で呼んでくれるのかなーとも思ってる」
ずっと様付けなんて、堅苦しいでしょ、と続けた飛鳥馬様がわたしの方へとチラリと視線を送るのを感じた。
「それは、……」
「難しい、んだよね。……はは、分かってるよ。無理にとは言わないから」
そう自嘲気味に笑う飛鳥馬様に違和感を覚えて、そっとその横顔を盗み見る。
……────
───
「……───またいつか、“あの頃”みたいに名前で呼んで欲しいな」
誰かに聞かせるでもなく小さく呟かれたその声が、わたしにはしっかりと聞こえた。