冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
奪われた唇
「もー。彩夏(あやか)、いつまで待たせんの」

「はは、ごめんごめん…!委員会、長引いちゃって」


わたしは、あははと苦笑いしながら差し出された右手に自分の左手を重ねる。途端、ギュッと強くも優しい力で握られ、感じた大好きな人の温もりに目を細めた。

わたしより1歳年上の彼氏からは、今日も大人っぽい色気が漂っている。


「それで、委員会が長引いた理由は何?」

「え、えっとそれが……」


有無を言わせぬ表情で、その理由を言わせるのは前から決まっていたかのような、そんな強制力があった。


笑っているのに、わたしをじっと見つめるその深い藍色の瞳は一切笑ってなんかいなかった。


「彩夏、どうしたの」

「え、ええっと……」


白馬に乗っている王子様の如く整い過ぎた顔を見ていると、何だか逃げ出したい衝動に駆られる。イケメンが真顔になると、凄く怖いというのはまさにこれだ。


ど、どうしよう……。


委員会が長引いた理由が、まさか隣のクラスの男子に告白されただなんて理由だったら、怒られるんじゃないか。


嫉妬深く束縛も強いわたしの彼氏は、わたしが告白されたという情報を聞いただけで凄く機嫌が悪くなるのだ。

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