HONEYHOLIC(3)リゾートシンデレラ~十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました~
「貴方は恋人居ないの?」

「居たら、君に恋人の振りは頼まない」

「樹生さんのようなセレブでイケメンの男性は引く手数多だと思うけど…違うの?」

「・・・社内では嫌われ上司で有名だ」

「へぇー…」


「・・・俺は君の事がもっと知りたいのに…自分の事ばかり…喋ってるな」

彼は苦い表情をして、グラスに残ったワインを飲み干した。

「君が訊き上手なのかな?」

「そうかも」

「でも、もっと君の事を話して」

彼は私の事をもっと知りたがった。

「じゃ貴方の部屋ですべてをお話します…樹生さん」

街娼だった私がこんなセレブな男性にお近づきになる機会は早々ない。

これが、最初で最後かもしれない。

彼なら、私の心と体を満たしてくれるかもしれない。
私は直感で思った。


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