惚れた弱み


「橋本ちゃん、改めて言うよ。…君が好きだ。俺の彼女になってください。」


「よろこんで!私も…矢嶋先輩のことが好きです。」


そう言って、菜々はそのまま博孝の首に手を回した。


――やっと、振り向いてくれた。俺の気持ちに、橋本ちゃんが答えてくれる日がくるなんて…


「やべ…幸せすぎ。」


そう呟くと、博孝も菜々の腰に手を回して、ぎゅっと抱きしめた。


――ずっとこうしたかった。やっと、橋本ちゃんを思いきり抱きしめられる日がきたんだ。


「大事にするよ、橋本ちゃんのこと。もう絶対離さないからね。」


そう言うと、菜々は博孝の首に回している腕に、少しだけ力を込め、抱き締め返してきた。


「うん。…ずっと離さないで。」


菜々のその行動、言動が全て愛おしい。


好かれることなどないとほとんど諦めていたところからの反動で、博孝は頭がクラクラしてきた。


そのまましばらく、2人で抱き合った。

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