モナコから出られない！
ルイさんにはモナコにいる間、お世話になった。フランス語が話せない私に通訳をしてくれて、色んな穴場を教えてくれて、楽しい思い出ができた。お姫様のように大切に扱ってくれて、その度にドキドキした。でも、この気持ちは恋じゃないってわかってる。

「ごめんなさい。お気持ちはとても嬉しいですが、それに応えることはできません」

私は頭を下げて謝る。このドキドキはきっと芸能人と会った時のような興奮に近いものだ。恋とか愛じゃない。そんな気持ちがないのに付き合うなんて、ただの最低な女だ。

「そっか。困らせちゃってごめんね」

ルイさんがどんな反応をするのか怖かったけど、彼は優しく微笑んでくれた。それに少しホッとする。

「デザート、食べる？ここのミルフィーユは絶品なんだよ。運が悪いとすぐに売り切れちゃうんだ」

ルイさんは先ほどの告白はなかったかのように、私にメニュー表を渡した。フランス語で書いているため、何がどの料理を指しているのかわからない。ルイさんに一つずつ教えてもらう。
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