探偵は夢中で捜査中
Side:M&F
大安吉日。晴天
とあるウェディング会場の控え室で、両家の親が挨拶をしていた。
特に母親同士の方は、マシンガンのような会話が繰り広げられている。
「正子さん、良い結婚式だったわねぇ。侑芽ちゃんすごく綺麗だったわ〜」
「あら冴子(さえこ)さん、ありがとう。のんちゃんもとってもかっこ良かったわ」
「ありがとう!この後の披露宴も楽しみね〜」
「そうねぇ。待ち遠しいわ」
「それにしても、越智さんご一家とはのんちゃんが幼稚園の頃から家族ぐるみでお付き合いさせてもらっていたけれど、まさか名実共に家族になるなんてあの頃は思ってなかったわ〜」
「ほーんとにそうよね!両家顔合わせの時、すでにお互いのご家族を知りすぎててなんか変な感じがしたもの」
「それ!私もそう思ってた!今更感がすごくあったわよね!」
「そうそう。でもこうしてママ友だった冴子さんと家族になれて良かったわ」
「本当にねぇ。今だから言えるけど、うちののんちゃん、小さい頃から侑芽ちゃんのことがずっと大好きだったのよ。侑芽ちゃんと結婚するー!ってよく言ってたわ。でもねぇ。中学生になってもなかなか告白しないから、一時はどうなることかとハラハラしたわ」
「うちもね、ここだけの話、侑芽ちゃん小学校行ってたくらいからのんちゃんの事を好きだったとは思うのよ。でも気持ちを伝えるのが苦手な子だったから」
「あらそうだったの。でも、こう言うのは親が口を出すのは違うじゃない?」
「そうなのそうなの!だから焦ったいけど見守るしかなかったのよね」
「一緒だわ〜。そうそう、思い出した。いつだったか、侑芽ちゃんがのんちゃんと一緒に映画に行ってくれた時があったじゃない?あの〜ほら、中学2年生くらいだったかな?うちの店でご飯食べてくれて」
「あったわね!侑芽ちゃんウキウキで準備してたもの」
「のんちゃんはもっと凄かったわよ。映画行く約束してからずっと原作の推理小説を読んでいたの。フィクションは絶対読まないのに私びっくりしちゃって!でも突っ込むのもアレかなと思って何も言わなかったけど」
「あの頃からちょっと雰囲気変わった気がするわ。あの2人」
「分かるわ!付き合い出したのもそのあと少ししてからだったものね」
「そうね。侑芽ちゃんも色々悩んでいたみたいでちょっと心配していたんだけど、のんちゃんの事だと分かっていたから様子を見てみたのよ。そうしたら上手く行ったみたいでホント安心したわ」
「あら〜正子さんとこもそんな感じだったのね。うちも同じ感じだったわ。あのくらいの時期にのんちゃんも色々考えていたみたい」
「今となっては懐かしいわね」
「本当に。侑芽ちゃんが告白してくれて助かったわ!」
「ふふふ。でもプロポーズはのんちゃんがしてくれたでしょ?」
「あはは。そうね。のんちゃん、アクセサリーの事全然分からないから選ぶの四苦八苦していたわ。親友の千里君にも相談していたけど、最終的には自分で決めたみたい」
「あの指輪とっても綺麗だったわ。侑芽ちゃんすごく喜んでね。渡してくれた時のシチュエーションをもう何回も何回も話すのよ〜。まったく誰に似たんだか」
母親たちが笑い合いながら凄いテンポで会話して盛り上がる一方。
父親たちは少し離れたソファに並んで腰掛け、静かに話した。
「越智さん、本日はありがとうございます」
「いえ、宇筒さん。こちらこそありがとうございます」
「うちの息子、少し頼りなく感じることもあると思いますが、どうぞよろしくお願い致します」
「こちらこそ、娘をよろしくお願い・・・致します・・・」
「あ、あの、大丈夫ですか?ハンカチ、新しいの要りますか?」
「すみません。大丈夫です。お気持ちだけで・・・。式の最初の時からほんとすみません。娘のウェディングドレス姿を見たら涙が止まらなくて・・・。娘とバージンロード歩いている時も泣いてしまっていたので、ベールの下で娘笑ってました・・・」
「わかりますよ。私も息子のタキシード姿を見てグッとくるものがありましたから」
「そう言っていただけたら・・・。ついこの前まであんなに小さかったのに。立派になってくれて嬉しいんです。それに望夢君なら安心して娘を任せられます」
「ありがとうございます。こちらも侑芽ちゃんのような聡明な子が息子と一緒になってくれて安泰ですよ」
「改めて、これからもよろしくお願い致します」
「はい。こちらこそ、よろしくお願い致します」
父親同士で固い握手をする。
その後花嫁の父親は「ちょっと失礼します。新しいハンカチを・・・」と断って自身のカバンに手を入れる。使い込まれていそうなフェルト製のポーチを取り出すと、ファスナーを開けてハンカチを用意した。
少しして、控え室のドアをノックする音がした。
ドアが開くと、スーツ姿の女性スタッフが顔を覗かせる。
「お待たせ致しました。披露宴会場へどうぞ」
そう促され、スタッフの案内で両家の親は披露宴会場へと向かった。
着いたのはガーデンウェディング会場。青空をバックに、緑に囲まれた見晴らしいの良い広場。そこに白い円卓のテーブルと白い椅子が置かれている。
テーブルの上には磨き上げられた食器と、美しく生けられた花が飾ってある。
なぜ今回会場がここなのかと言うと、
「レム、準備は出来たかしら。も〜朝からはしゃいじゃって。
冴子さん、ありがとうね。レムも同席できるように外の会場にしてもらって」
「何言ってるのよ正子さん。今日からレムは私たちの家族でもあるんだから当然よ」
レムは犬用の蝶ネクタイをしている。
尻尾を振りながら、いつもと違う環境にテンションが上がっているようだ。
それから招待客が次々とやってきて席に着く。
全員集まった所で、司会者がマイクの前に立った。
「みなさま、長らくお待たせいたしました。宇筒・越智ご両家のご結婚ご披露宴を始めたいと思います。ではまず、新郎新婦のご入場です。盛大な拍手でお迎えください」
その言葉と同時に軽快な音楽が流れる。
そして会場の入り口の方から歩いてくる新郎新婦の姿が見えた。
両家の親は手が痛くなるのも構わず、大きな音で拍手をした。
「Side:M&F」fin.
とあるウェディング会場の控え室で、両家の親が挨拶をしていた。
特に母親同士の方は、マシンガンのような会話が繰り広げられている。
「正子さん、良い結婚式だったわねぇ。侑芽ちゃんすごく綺麗だったわ〜」
「あら冴子(さえこ)さん、ありがとう。のんちゃんもとってもかっこ良かったわ」
「ありがとう!この後の披露宴も楽しみね〜」
「そうねぇ。待ち遠しいわ」
「それにしても、越智さんご一家とはのんちゃんが幼稚園の頃から家族ぐるみでお付き合いさせてもらっていたけれど、まさか名実共に家族になるなんてあの頃は思ってなかったわ〜」
「ほーんとにそうよね!両家顔合わせの時、すでにお互いのご家族を知りすぎててなんか変な感じがしたもの」
「それ!私もそう思ってた!今更感がすごくあったわよね!」
「そうそう。でもこうしてママ友だった冴子さんと家族になれて良かったわ」
「本当にねぇ。今だから言えるけど、うちののんちゃん、小さい頃から侑芽ちゃんのことがずっと大好きだったのよ。侑芽ちゃんと結婚するー!ってよく言ってたわ。でもねぇ。中学生になってもなかなか告白しないから、一時はどうなることかとハラハラしたわ」
「うちもね、ここだけの話、侑芽ちゃん小学校行ってたくらいからのんちゃんの事を好きだったとは思うのよ。でも気持ちを伝えるのが苦手な子だったから」
「あらそうだったの。でも、こう言うのは親が口を出すのは違うじゃない?」
「そうなのそうなの!だから焦ったいけど見守るしかなかったのよね」
「一緒だわ〜。そうそう、思い出した。いつだったか、侑芽ちゃんがのんちゃんと一緒に映画に行ってくれた時があったじゃない?あの〜ほら、中学2年生くらいだったかな?うちの店でご飯食べてくれて」
「あったわね!侑芽ちゃんウキウキで準備してたもの」
「のんちゃんはもっと凄かったわよ。映画行く約束してからずっと原作の推理小説を読んでいたの。フィクションは絶対読まないのに私びっくりしちゃって!でも突っ込むのもアレかなと思って何も言わなかったけど」
「あの頃からちょっと雰囲気変わった気がするわ。あの2人」
「分かるわ!付き合い出したのもそのあと少ししてからだったものね」
「そうね。侑芽ちゃんも色々悩んでいたみたいでちょっと心配していたんだけど、のんちゃんの事だと分かっていたから様子を見てみたのよ。そうしたら上手く行ったみたいでホント安心したわ」
「あら〜正子さんとこもそんな感じだったのね。うちも同じ感じだったわ。あのくらいの時期にのんちゃんも色々考えていたみたい」
「今となっては懐かしいわね」
「本当に。侑芽ちゃんが告白してくれて助かったわ!」
「ふふふ。でもプロポーズはのんちゃんがしてくれたでしょ?」
「あはは。そうね。のんちゃん、アクセサリーの事全然分からないから選ぶの四苦八苦していたわ。親友の千里君にも相談していたけど、最終的には自分で決めたみたい」
「あの指輪とっても綺麗だったわ。侑芽ちゃんすごく喜んでね。渡してくれた時のシチュエーションをもう何回も何回も話すのよ〜。まったく誰に似たんだか」
母親たちが笑い合いながら凄いテンポで会話して盛り上がる一方。
父親たちは少し離れたソファに並んで腰掛け、静かに話した。
「越智さん、本日はありがとうございます」
「いえ、宇筒さん。こちらこそありがとうございます」
「うちの息子、少し頼りなく感じることもあると思いますが、どうぞよろしくお願い致します」
「こちらこそ、娘をよろしくお願い・・・致します・・・」
「あ、あの、大丈夫ですか?ハンカチ、新しいの要りますか?」
「すみません。大丈夫です。お気持ちだけで・・・。式の最初の時からほんとすみません。娘のウェディングドレス姿を見たら涙が止まらなくて・・・。娘とバージンロード歩いている時も泣いてしまっていたので、ベールの下で娘笑ってました・・・」
「わかりますよ。私も息子のタキシード姿を見てグッとくるものがありましたから」
「そう言っていただけたら・・・。ついこの前まであんなに小さかったのに。立派になってくれて嬉しいんです。それに望夢君なら安心して娘を任せられます」
「ありがとうございます。こちらも侑芽ちゃんのような聡明な子が息子と一緒になってくれて安泰ですよ」
「改めて、これからもよろしくお願い致します」
「はい。こちらこそ、よろしくお願い致します」
父親同士で固い握手をする。
その後花嫁の父親は「ちょっと失礼します。新しいハンカチを・・・」と断って自身のカバンに手を入れる。使い込まれていそうなフェルト製のポーチを取り出すと、ファスナーを開けてハンカチを用意した。
少しして、控え室のドアをノックする音がした。
ドアが開くと、スーツ姿の女性スタッフが顔を覗かせる。
「お待たせ致しました。披露宴会場へどうぞ」
そう促され、スタッフの案内で両家の親は披露宴会場へと向かった。
着いたのはガーデンウェディング会場。青空をバックに、緑に囲まれた見晴らしいの良い広場。そこに白い円卓のテーブルと白い椅子が置かれている。
テーブルの上には磨き上げられた食器と、美しく生けられた花が飾ってある。
なぜ今回会場がここなのかと言うと、
「レム、準備は出来たかしら。も〜朝からはしゃいじゃって。
冴子さん、ありがとうね。レムも同席できるように外の会場にしてもらって」
「何言ってるのよ正子さん。今日からレムは私たちの家族でもあるんだから当然よ」
レムは犬用の蝶ネクタイをしている。
尻尾を振りながら、いつもと違う環境にテンションが上がっているようだ。
それから招待客が次々とやってきて席に着く。
全員集まった所で、司会者がマイクの前に立った。
「みなさま、長らくお待たせいたしました。宇筒・越智ご両家のご結婚ご披露宴を始めたいと思います。ではまず、新郎新婦のご入場です。盛大な拍手でお迎えください」
その言葉と同時に軽快な音楽が流れる。
そして会場の入り口の方から歩いてくる新郎新婦の姿が見えた。
両家の親は手が痛くなるのも構わず、大きな音で拍手をした。
「Side:M&F」fin.

