極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
とにかく謎だらけの病で、患者数も少ないことからサンプリングが難しく、治療法を確立するには気の遠くなるような年月が必要なのだ、と以前聞いた。難しくて意味が半分もわからなかったけれど。

「でも、安心して。今度、すごい先生が来てくれることになったから」

藤巻先生が両手を胸の前でぐっと握る。

「この病を研究している有名な先生が星奈ちゃんに会いに来てくれるって。もっと研究すれば、お薬が作れるかもしれない」

「ほんと?」

「ええ。この病と闘っているのは、星奈ちゃんだけじゃない。同じ病気の人はもちろん、たくさんのお医者さんや、お薬を作る研究者の人たちも頑張ってくれているの。だからみんなで頑張りましょう」

先生の言葉を聞いて、胸が躍った。この苦しみの先にはちゃんと希望があったのだ。

私には未来が用意されている。

普通に学校へ行って、普通に友だちと遊んで、普通に勉強がしたい。

特別でなくていい。

ただみんなと同じように、ごく普通の生活がしたい。家族みんなで食卓を囲みたい。

大きくなったら父や母のように、普通に働きたい。

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