極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「……わからない」
頭を悩ませていると、会議室のドアが開き「こんなところにいらっしゃいましたか」と呆れた声をかけられた。
部屋に入ってきたのは秘書課の有望株、武久義一。
三十五歳という若さながら、次期社長の第一秘書兼、社長室室長としての昇進が決まっている。
――とまあ、回りくどい説明をしたが、要するに俺がパートナーに指名したのだ。彼が隣にいれば仕事がしやすい。
「祇堂さん。お勉強期間は終わりです。本日からは取締役会にも参加してもらいますよ」
武久が眼鏡のブリッジを押し上げる。お決まりの慇懃な仕草に、思わず「わかっているよ」と笑みがこぼれた。
「それで。例の女性の了承は取れましたか?」
「それが……」
俺はひょいっと肩を竦めた。今日も説明しようと試みたが、今しがた逃げられてしまった。
武久の目が神経質に細まる。
「なにをしているんですか。さっさと内示を済ませてください。あと一カ月しかないと言うのに」
「仕方ないだろう。彼女、俺を見ると逃げ出すんだ」
武久の目がさらに細まった。げんなりと口もとまで歪んでいる。
頭を悩ませていると、会議室のドアが開き「こんなところにいらっしゃいましたか」と呆れた声をかけられた。
部屋に入ってきたのは秘書課の有望株、武久義一。
三十五歳という若さながら、次期社長の第一秘書兼、社長室室長としての昇進が決まっている。
――とまあ、回りくどい説明をしたが、要するに俺がパートナーに指名したのだ。彼が隣にいれば仕事がしやすい。
「祇堂さん。お勉強期間は終わりです。本日からは取締役会にも参加してもらいますよ」
武久が眼鏡のブリッジを押し上げる。お決まりの慇懃な仕草に、思わず「わかっているよ」と笑みがこぼれた。
「それで。例の女性の了承は取れましたか?」
「それが……」
俺はひょいっと肩を竦めた。今日も説明しようと試みたが、今しがた逃げられてしまった。
武久の目が神経質に細まる。
「なにをしているんですか。さっさと内示を済ませてください。あと一カ月しかないと言うのに」
「仕方ないだろう。彼女、俺を見ると逃げ出すんだ」
武久の目がさらに細まった。げんなりと口もとまで歪んでいる。