極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
それにしたって会計まで一緒に待ってくれるなんて、失礼な言い方だがあまりにも親切で彼らしくない。

今日はひとりにするのが心配になるほど数値が悪かったのだろうか。でも、それなら真っ先に入院しろと言いそうなものなのに。

不思議に思いながら院内薬局で順番を待っていると、突然教授が切り出した。

「恋人と喧嘩でもしたのかい?」

思いもよらぬ豪速球。心臓が止まりそうになる。危うくまた腕時計がぴこぴこ音を立てるところだった。

「いえ、喧嘩だなんてしていません! ……ただ」

教授の推理は正しい。さすがは研究者だ。

「いろいろと気がかりなことがあって。少し悩んでいたかもしれません」

しゅんとうつむくと、教授は淡々とした表情で腕を組んだ。

「君の場合は昔から、ストレスが症状に色濃く反映される。以前にも一度あったね。強いストレスを受けて脳炎になり、奇跡的に助かったことが」

「え……」

身に覚えがなくて、ぽかんとしてしまった。

何度か酷い熱を出して寝込んだ記憶があるけれど、脳炎なんてあったかしら? 強いストレスってなんのことだろう。

覚えてないのは、私がまだ幼かったせいかもしれない。
< 173 / 267 >

この作品をシェア

pagetop